「石の上にも三年….冷たい石の上にじっと3年も座っていれば、石も暖まる」
私はこのことわざは声楽の発声法にも当てはまる思います。
新しい生徒さんが入会されると
最初の1年目は、レッスン中の私のアドバイスを理解できない方が多いです。
理屈はわかっていても体が思うように使えないせいでしょうか!
または他で違った発声をやって来られたのでしょうか!
今まで信じてやってきた真逆の体の使い方だったりするようですから
レッスン中に軽い(または強い)心の葛藤があるようです。
冷たい石は居心地が悪いですからね。
でも最初の1年目はどなたでも石の上に座っていられます。
なぜなら多少なりとも発声に悩みを抱えていらっしゃるからです。
ここでは、ちゃんと話し合いも入れて、何を目指しているのかをはっきり目標を定めます。
次の2年目は、少し理解が出来て、
もしかしたら先生はこの感覚の事を言ってるのかしら? でも自分では上手くコントロールが出来ない。
まだまだ、以前の癖が強すぎて、無意識にやってしまう。
ここでは、頭では理解できていますが、体が思うように使えないので、ジレンマです。
ここが分岐点です。
Aさん「しっかり頑張って習得するぞ。」と、諦めない人。石の上から離れない人。
または
Bさん「別にプロになるわけじゃないから…楽しいから続ける」と楽観的な人。この人は石の上から時々離れています。
Cさん「なかなか上手くならない、先生の言ってることが最終的に受け入れられない」とやめていく人。
そして3年目は、
頑張ってきたAさんはレッスンで生徒と先生が目指す方向が一致する。
一人で練習したときに、以前の悪い癖が自分でも分かり、嫌になる。
レッスンでやっていることがよみがえり、コントロールしながら練習できるようになる。
楽観的なBさんは何年経っても癖のある発声からなかなか抜け出せません。
石の上に時々座ったり、離れたりして石が温まらないからです。
でも、まあ、歌っていると楽しいから続けたい、そのうちの上手くなるだろう。と、そのうち石もゆっくり温まる。
このタイプの人は本人が気が付かないうちに5年後10年後にゆっくり上手くなっていきます。
更に、
ベテランになるまでにはその十倍の30年かかるかな?
世の中には、歌なんか習わなくったってうまい人も沢山います。
ほんのちょっと習っただけで、プロになっている人も沢山います。
私は30年かけて、やっと体の使い方が分かり、指導できる迄になりました。 一応声楽の指導は25年以上前からやってはいますが、ここまでこれたのも、いろんなタイプの生徒さんと出会えてこれたおかげです。